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探偵事件簿:
企業信用調査相談例04

「爆弾役員」47歳男性

母子家庭で育った私は中学を出てすぐ建築会社に就職し、母や弟のためがむしゃらに働きました。そのかいもあり弟は大学を卒業し建築士の資格をとり、私のひとり立ちを期に兄弟で会社を立ち上げました。
設立して10年もする頃には好景気も手伝い、上場企業とはいきませんが、社員200名ほどの地元でも指折りの建設会社となっていました。

しかし、ご存知のとおりバブルが弾けてからは建設業界は冷え込む一方で、仕事量は半減、加えて単価は下がる一方で県内にあった支店は廃止・統合と規模縮小はまぬがれませんでした。
有能な社員は都心の大手へと流れていく始末で、社員数も最盛期の半分程度となりました。
苦労して気づいた会社を守るため弟と力を合わせてなんとか頑張りましたが一向に景気は回復せず、資本力のある大手にもかなわず、益々会社の経営は厳しくなるばかりでした。
ついには弟も過労のため倒れてしまい、私はいよいよ窮地に立たされたのです。

そんな折、同じ県内にあるアクトスという建設会社より資本提携の話が舞い込んできたのです。提携を結べば大手とも引けをとらなくなり、県内の仕事はほぼ網羅できると思われます。
ただ、この会社、同じ業界内ではあまりいい噂を耳にしません。バブルの頃は地上げ屋などと結託していたという話もありますし、経営者が暴力団とつながっているとの噂もありました。
病床の弟に相談すると猛反対されましたが、そういってる間にも会社の状況は予断を許さない状況でした。
私は弟の反対を押し切り親戚の役員を説得し、株式の40%をアクトスが保有という形で資本提携を結ぶことにしました。
提携すると間もなくアクトスより役員が選出されF谷を専務として迎えることになりました。F谷は特別仕事ができるといった訳ではありませんでしたが特別害も無くあまり気にもしていませんでした。

アクトスは名前は出せませんが有力者との太いパイプを持っており、仕事量は急増、会社は一気に昔の賑わいを取り戻していきました。
決算期となり、ここ数年では最高の利益になりました。私はこれでよかったんだと思いました。会社を、社員を救うことができたんだと・・・
私は自分の功績に酔いしれ会社が確実に黒い影に蝕まれていっていることに気づくよしもありませんでした。
決算も終わるとアクトスより指示があり役員会議を開くように提案がありました。役員会議とは言ってもF谷を除けば元々の役員ですから、黒字報告と宴会になるのだろうとタカをくくっていました。

ところがいざ始まってみると、想像もしていなかったことが起きたのです。なんとF谷より社長交代の要請があったのです。
何を言ってるのか?と思いましたが決議を取ると、驚くことに役員も半数以上が賛成に挙手したのです。さらにF谷からは株式の半数以上をTJCが保有しているとの報告まであったのです。
アクトスがF谷に出した使命は役員と、株式の買収だったのです。結果、休職中の弟は退社、私は相談役という名の閑職につくことになりました。
弟はそれから間もなくして亡くなりました。私は自分自身を恨み、なぜあの時弟のいうことを聞かなかったんだろうと後悔の毎日です。

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